会社法の基礎の基礎

法人格をもつ会社は、生きている人同様、権利を有し、義務を負うことができるのです。

株式と社債
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株式と社債

株式と社債

企業が資金を調達するためには、間接金融と直接金融という2つの方法があります。

間接金融とは銀行等から借入れる方法で、直接金融とは、株式社債等で投資家から資金を調達する方法です。

日本の企業は、戦後、長い間、間接金融に頼りがちでした。 (さらに…)

株式のしくみ

株式会社は、もともと不特定多数の人々から出資を受けやすくすることを可能にするための制度でした。

また、社員となる出資者が投下資本を回収しやすいように、株式譲渡の自由が原則でした。そのため、株式の引受価額が細分化され、個性のない数多くの株主が出資できます。

株主の権利は、社員としての地位を細分化したものなので、通常の債権とは違って、株主の権利のうち個別の権利を分離して処分できないと考えらえます。 (さらに…)

社債のしくみ

社債とは、会社を債務者とする金銭債務です。

会社法に基づいて会社が行う割り当てによって発生し、所定のルールに従って償還されます。

また、これを細分化した形にすることもでき、細分化することで不特定多数の人から巨額で長期の資金を調達する手段となっています。

社債は、株式会社が取締役会の有無に関係なく発行することができます。 (さらに…)

株券とは

株券とは非上場会社の株式を表章する有価証券のことです。

出資者が投下資本を回収しやすくするために、株式の自由譲渡性を確保し、その譲渡を容易にするために有価証券化が認められています。

しかし、会社法では株券の発行を義務づけていません。

株券は定款に定めがある場合に限り発行することができます。 (さらに…)

株券の電子化

上場会社の株式は、振替様式として振替口座簿に記録、記載されます。

これによりその株主権は、証券保管振替機構と証券会社等に開設された口座で電子的に管理されます。

その振替口座簿の記録、記載が株券に相当し、株式を譲渡する際には、振替口座簿に記録、記載することで効力が生じます。

振替口座簿の記載は、株式譲渡の効力要件であり対抗要件ではありません。 (さらに…)

株主名簿

株式会社は、株主名簿をその本店に備え置く必要があります。株主名簿には以下の事項を記載します。 (さらに…)

基準日

株式は、どの時点の株主が権利行使できるのかを確定させる必要があります。

そのため、議決権を行使し、または配当を受ける者その他株主や株式の質権者として権利を行使できるものを確定するため、一定の基準日に株主名簿に記載、記録のある株主や質権者をその権利を行使できる株主、質権者とみなすことができることになっています。

この株主を基準日株主と呼びます。会社が基準日を定めるのは、基準日株主が行使できる権利の内容を定める必要があるからです。 (さらに…)

株主への通知と催告

会社が株主に対して通知、催告を行う場合、株主名簿に記載、記録した株主の住所またはその者が会社に通知したメールアドレスなどの宛先に対して発送すればよいことになっています。

この通知、催告は、通常その到達するはずの時に到達したものとみなされます。

また、会社が株主に対して発送した通知や催告が継続して5年間到達しなかった場合は、会社はそれ以上通知や催告をしなくてもよいとされています。 (さらに…)

株式の譲渡制限

会社に出資した人の立場からみると、株式は自由に譲渡することで投下資本をいつでも自由に回収できることが理想です。

しかし、好ましくない人に株式が譲渡されると、株主総会が荒らされ、会社経営の安定を害される可能性があります。

特に小規模で閉鎖的な会社は、株主の個性が重視されている傾向にあります。 (さらに…)

譲渡制限株式の処分方法

株式の譲渡が制限される場合でも、株主に投下資本を回収するための手段を認める必要があります。

そこで、会社が譲渡を承認しない場合は、その代わりに認められる譲渡を行うための手続が定められています。

この承認の請求は、株式を他人に譲り渡そうとする株主でも、新たな取得者でも可能です。 (さらに…)

取得請求権株式と取得条項付株式

会社の株式の構成を安定させておくために、譲渡制限株式のほかにも、株式会社が発行する全部の株式の内容として次のようなことを定めることが認められています。

①株式について株主がその株式会社に対してその取得を請求できること (さらに…)

種類株式

投資家にはいろいろなニーズがあります。

株式を発行して資金調達を図る場合も、投資家の特性に応じて株主権の内容を自由に決めることができれば便利です。

また、合弁事業を行う場合には、株主間契約で株主を拘束するだけでなく、会社を直接拘束できることが望ましいでしょう。 (さらに…)

議決権制限株式と拒否権付株式

株主が議決権を行使できる対象にはさまざまなものがあります。

そこで、株式会社は種類株式の一種として、議決権を行使できる事項について内容の異なる種類の株式を発行することができます。

これを議決権制限株式と呼び、議決権普通株式と区別しています。 (さらに…)

転換株式

株式の転換とは、配当優先株式から普通株式に転換するように、ある種類の株式からほかの種類の株式に転換することを意味します。

この転換には株主の請求によってできるものと、会社の方から転換するものが考えられます。

しかし、会社法では転換という用語を使った定めはありません。 (さらに…)

全部取得条項付種類株式

株式会社は、数種の株式を発行する会社になり、あるひとつの種類株式の全部を株主総会の特別決議によって、有償または無償で取得することができる旨の定款の定めを設けることができます。

これを全部取得条項付種類株式といいます。これにより、ある種類の株式全部を株主総会の特別決議だけで会社が取得することが可能となります。

種類株式を発行する場合には、次のような事項を定款で定めておく必要があります。 (さらに…)

取締役等の選解任種類株式

合弁事業のために日本法に基づいて株式会社を設立しようとする場合、以前は株主間契約を締結して、出資割合や事業への関与の度合いに応じて、取締役等の選任・解任をはじめとする経営事項について制約していました。

しかし、この方法は株主を契約上拘束することにすぎず、少数株主の保護に欠けています。

そこで、委員会設置会社以外の非公開会社に限り種類株主総会で取締役や監査役の選任・解任に関する事項について内容の異なる種類の株式が発行できるようになっています。 (さらに…)

株式の担保化

株式を質入れするには、略式質と登録質という2つの方法があります。

株主名簿に記載しない方式が略式質です。この場合、質権を会社と第三者に対抗できるには株券の継続的な占有が必要なので、質権の目的とする株券の交付等が必要になります。

一方、略式質は会社とは無関係に質権設定されるため、会社は質権設定者を株主と扱えばよいのですが、質権者は物上代位による権利を行使することができます。 (さらに…)

株式分割と株式併合

株式分割とは、株式を細分化して数を増やすことです。

しかし、株式分割しても会社財産が増加するわけではありません。

しかし、1株当たりの価格は下がりますが、株式の取引がしやすくなり、流動性が高まるというメリットがあります。

株式分割するには、株主総会または取締役会の決議が必要です。 (さらに…)

単元株制度

会社は、取引しやすい株式の大きさを決めることができます。

しかし、1株を必要以上に小さくすると、株主の数が増えてその管理負担も増加します。

そこで、定款で1単元の株式の数を適当に定め、1単元ごとに1個の議決権を与えるものとすることができます。 (さらに…)

自己の株式を取得できる場合

会社が、自らが発行した株式で他社が保有する「自己の株式」を取得したり、すでに自己で保有する「自己株式」を保有したりすることは、株主平等原則違反、株価操作・インサイダー取引の懸念、会社支配権の不当な維持に理由されるなどの懸念があることから規制されています。

しかし、欧米では基本的には自己株式の保有を認める国もあります。そこで、日本における自己株の取得・保有も徐々に規制緩和され、一定の手続規制と財源規制等の下に、自己の株式の取得・自己株式の保有が認められています。 (さらに…)

自己の株式の取得手続

株式会社は、いつでも所定の事項について株主総会の決議をすることで、自己の株式を取得することができます。

これは、一般的に株主との行為により自己の株式を会社が取得することを認めるものです。

この株主総会は、定時株主総会である必要はなく、臨時株主総会でもかまいません。

株主総会の普通決議によって、取締役会に対して、自己の株式を取得できる権限が付与されます。 (さらに…)

募集株式の発行等

募集株式とは、新たに発行される株式のほか、処分する自己株式を含んだものです。

会社は、事前に発行できる株式の総数を決めることになっています。

これを発行可能株式総数といいます。

公開会社が設立に際して実際に発行する株式数は、発行可能株式総数の4分の1以上でなければならないため、会社成立後に発行可能株式総数が発行済株式総数の4倍を超える増加はできません。 (さらに…)

現物出資とDES

株式会社は募集株式の発行等において、金銭以外の財産を出資の目的とすることができます。

自己株式の処分に際して現物財産が給付される場合も、新株発行と同様の取扱いがされます。

この場合、その財産の内容や価額を定める必要があり、原則として、募集事項の決定後に遅滞なく現物出資財産の価額を調査させるために、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければなりません。 (さらに…)

新株予約権

新株予約権とは株式会社に対して行使することで、その会社の株式の交付を受けることができる権利です。

つまり、新株予約権者は会社に対して権利行使したら、株式を取得することができ、会社は株式の交付義務を負うという債権です。

新株予約権を取得した時点ではまだ株式は取得していません。 (さらに…)

新株予約権の発行手続

新株予約権の発行手続は、基本的には募集株式の発行等と同じ規律です。

つまり、非公開会社の場合には原則として株主総会に決議が必要です。

一方、公開会社の場合には取締役会決議で発行できますが、割当日の2週間前までに株主への通知・公告が必要です。 (さらに…)

新株予約権の行使・消却

新株予約権を行使する者は、その請求書に新株予約権証券を添付して会社に提出し、払い込むべき行使価額の全額を払い込みます。

ただし、新株予約権証券を発行していない場合には証券の添付は必要ありません。

新株予約権が行使されると、会社は新株予約権者に対して新株を発行して、またはこれに代えて会社の有する自己株式を交付する義務を負います。 (さらに…)

新株予約権の活用

新株予約権は、株主以外の者に対しても付与できます。

株主以外の者とは、取締役、従業員のほか、出資者その他の者も含まれます。

これによりベンチャーの出資者や各種アドバイザー、コンサルタント等にも新株予約権を付与できます。

新株予約権には付与の上限や権利行使期限もないため、投資家のニーズに合わせた発行が可能となり、資金調達が機動的にできます。 (さらに…)

株式をめぐる訴訟手続

会社法では、株式発行や自己株式の処分が実行される前なら、募集株式の発行等の差止請求ができます。

差止請求ができる株主は以下のとおりです。 (さらに…)